着物には沢山種類がありますが、羽織にも小紋羽織、紬羽織、絵羽織などがあります。
着物の種類に合わせて羽織を選ぶべきなのか、センスに任せて羽織の種類を選べば良いのか、迷ってしまいますね。
今回は、羽織の種類や着物と羽織を合わせる時のポイントなどを詳しく解説していきます。
目次
羽織の基礎知識
羽織とは、着物の上に着るものを言います。
着物の上に着るものには、羽織の他にコートがありますが、この両者は全く用途の異なるものになります。
コートは、雨や雪を除け、着物を美しく保つために着るもので、室内では必ず脱がなくてはならないものになります。
それに対して、羽織は、コートとは異なり、室内で脱ぐ必要のないものになります。
洋服で言うところのカーディガーンのようなものです。
セミフォーマル、またはカジュアル用として用いられ、フォーマルには用いられません。
雨や雪を除ける、実用性の高いものというよりは、お洒落着として用いられる方が一般的です。
羽織の種類と格
羽織にも、着物のようにいくつか種類があります。
・紋付き羽織
・絵羽織
・無地羽織
・小紋羽織
・紬羽織
中でもよく着られるのが、絵羽織と小紋羽織になります。
紋が付いた着物の格が高いように、紋の付いた羽織も格が高いです。
そのため、一つ紋や三つ紋が付いた黒羽織は、セミフォーマルのものとして用いられます。
絵羽織は、黒羽織に次いで格が高い羽織です。
訪問着のように模様が一枚の絵になるように描かれていることから、絵羽の羽織、すなわち絵羽織と呼ばれるようになったのです。
華やかな雰囲気が人気の一品です。
羽織と着物の合わせ方
羽織も着物も選ぶときのポイントは同じで、季節のTPOを大切にするというものになります。
ここでは、季節ごとの羽織の選び方、着物の格との兼ね合いについてまとめています。
季節に合わせて素材を選ぶ
羽織にも夏物、冬物があり、時期によって着分けます。
袷の羽織は、10月から4月中旬ぐらいまで、紗や絽の薄物の羽織は、5月、6月、9月に着るのが一般的です。
因みに、羽織は、色無地、付け下げ、小紋、紬といった、セミフォーマルよりも格下の着物に合わせて着ます。
着物の格と羽織の格
先にも述べたように、紋付きの黒羽織はセミフォーマルの衣装として用いられます。
色無地、付け下げ、江戸小紋などに合わせて、卒業式や入園式、入学式、七五三の時の付添に着たりします。
絵羽織は、訪問着同様、華やかなよそゆき着として活躍します。
友禅染や絞りや刺繍の入ったものなどがあり、付け下げや色無地などと合わせて年始のような改まったご挨拶、パーティー、観劇の際に着られることが多い羽織です。
紋のない無地羽織や小紋羽織、紬羽織は、小紋や紬の着物に合わせて、旅行や街歩き、お稽古などに着るお洒落着になります。
因みに、小紋には小紋羽織の羽織を合わせなくてはいけないという決まりはなく、小紋に紬羽織を合わせても、紬に小紋羽織を合わせても構いません。
季節とTPOさえしっかり守られていれば、自分のセンスに合わせた着物と羽織のお洒落を楽しむことが出来ます。
ワンランク上の羽織の楽しみ方
羽織を着てお洒落を楽しむならば、羽織丈や羽裏、羽織紐にまでこだわってみたいものですね。
どのくらいの丈が標準丈なのか、どんな羽織紐を付けるのが一般的なのかということを知って、自分なりのお洒落を楽しみましょう。
羽織丈
一般的には、膝と腿の付け根の真ん中あたりの丈のものが羽織丈と言われていますが、それよりもやや長く、コートよりは短い七分丈と言われるものが好んで着られる傾向にあるようです。
但し、羽織やコート用の反物(羽尺)は、羽織丈が制限されているため、七分丈に出来る反物は限られます。
そういった場合には、柄行が豊富で長さも自由に調整できる着物用の反物(着尺)で小紋羽織や無地羽織、紬羽織を仕立てることも可能です。
着物用の反物は、柄が素敵なものが多いため、羽織の生地としても大変好まれます。
羽裏
袷の羽織には、羽裏(はうら)と呼ばれる滑りの良い裏地を付けます。
羽裏は基本的には他人に見えない部分になりますが、見えない部分にこそこだわりを持つのが、着物のお洒落でもあるのです。
例えば、長襦袢も他人からは見えないものになりますが、派手な色合いや大きな柄行のものなどが多く取り揃えられていますね。
これはまさに見えない部分へのこだわりというところになるのです。
羽裏も同様で、羽裏にこだわること自体がお洒落に繋がります。
そこから、「着物通ほど羽裏に凝る」とも言われるのです。
羽織紐
男性の羽織同様、女性の羽織にも羽織紐を付けます。
男性の羽織紐は、今でいうところのネクタイのようなもので、着物通の男性は何本も羽織紐を持って、羽織姿を楽しみます。
言うなれば、羽織紐はお洒落度をアップ出来るアイテムなのです。
女性の羽織紐にもいくつか種類がありますが、組紐が一般的によく用いられます。
絵羽織には珊瑚や貴金属のものを合わせて、豪華に見せることもあります。
羽織紐は、帯締めの近くで結ぶので、帯締めの色や帯留めに合わせた羽織紐を選んで合わせます。
帯締めとの色合わせやコーディネートにこだわりながら羽織紐を選んで、自分なりのお洒落を楽しみましょう。
さいごに
羽織は、屋外室内問わず、ずっと着たままでいられるものなので、普段の着物姿とはまた違った和装が楽しめるアイテムでもあります。
羽織の種類や格を知り、羽織と着物の組み合わせを考えてみましょう。
そして、細部にまでこだわった羽織と着物の美しいコーディネートで、和美人を目指してみましょう。