「着物の帯の種類ってどういうのがあるの?」
「着物と帯の合わせ方の注意点とかはある?」
「着物と帯の色や柄を合わせるにはどうしたらいいの?」
そんなことを考えていませんか?
今回は着物の帯の種類や合わせ方などについて解説してみたいと思います。
目次
着物1枚に帯3本?
昔から「着物1枚に帯3本」と言われるほど着物のコーディネートは帯によってガラッとその雰囲気を変えることができます。
もちろん尊ぶべきTPOはありますが、格式の高い場に着ていく着物以外の着物であれば基本、自由に帯を組み合わせることが可能です。
色柄で合わせたり素材で合わせたりその組み合わせは無限大!
同じ洋服でも気分次第でシューズを変えてみたり、アクセサリーを変えるのと同じ感覚で帯をコーディネートしてみましょう!
帯にも格があるって本当?
着物に格があることはご存知かもしれませんが、帯にも実は格があります。
TPOに応じてこの格を合わせていかなければいけないので「着物は難しい」と言われる所以でもあります。
それでも基本を抑えれば着物の格も帯の格も難しいことはありませんので、まずは基本をしっかりと覚えるようにしましょう。
着物の格は「織りもの」よりも「染めもの」が格上とされていますが、帯は逆になり「染めもの」よりも「織もの」が格上になりますのでご注意ください。
着物とは逆とおぼえておくといいでしょう。
◆POINT◆
ここでいう「織り」とは糸自体を染め上げてから作られる場合を指し、着物であれば紬やお召、木綿、ウールの着物がそれに当たります。
織りの着物はおしゃれ着や外出着がほとんどです。
逆に「染め」とは白い生地を染め上げて作られた場合を指し、着物であれば格式の高い礼装用の着物のほとんどが染めの着物です。
帯であれば塩瀬などが染めの帯になります。
着物の帯の種類と格や特徴について
続いては着物の帯の種類や格や特徴について解説します。
丸帯
広幅の生地を二つ折りに仕立てたものが丸帯(広帯)で、現代では花嫁衣装の打掛や黒本振袖に使用されています。
金襴や錦織、唐織などの織物で袋帯の登場前までは第一礼装の帯として振袖着用時にも活躍していました。
帯の中では一番格調の高い帯となっています。
袋帯
帯の表と裏が袋状に仕立てられている帯のことで、礼装用から普段着まで幅広く使用されています。
袋状になっている「本袋」と2枚の布を縫い合わせた「仕立袋」があり、現代では仕立袋が一般的です。
仕立袋は表地と裏地が別々に織られたものを縫い合わせることで袋状としていて現代では丸帯に代わり、礼装や準礼装に用いられています。
袋帯には金銀糸で織られた礼装用から色糸だけで織られた洒落袋帯がありますが、格調の違いからも礼装用であれば金銀糸を使用した吉祥文様などの伝統的な柄が入ったものを選びましょう。
本袋帯
袋帯の一種ですが本袋帯は仕立袋のように2枚をはぎ合わせることなく、表地と裏地が1枚の布で筒状に織られていることが特徴です。
表地を織ってから裏地を織ることで回転しながら織らなければいけないため、高度な職人技が必要とされます。
そのため生産数も少なく、価格も高価にならざるをえないというわけです。
しかしながら本袋帯はそのしなやかさ、締め心地、耐久性の面からもメリットが数多くあり現在でも愛好者からも支持され続けています。
名古屋帯
たれ(お太鼓部分)は袋帯と同寸幅で手先(胴に巻く部分)がその半幅になっている帯が名古屋帯です。
仕立前の帯幅が九寸なことから『九寸名古屋帯』とも呼ばれています。
名古屋帯は礼装には不向きですが金糸、銀糸や箔が用いられた織りの名古屋帯は準礼装に用いることができます。
また喪服の場合も名古屋帯が主流になっています。
袋名古屋帯
八寸名古屋帯とも呼ばれる袋帯と名古屋帯のいいとこ取りをしたような帯で、帯幅は袋帯と同寸、長さや柄の入り方が名古屋帯と同じです。
帯の格としては名古屋帯と同格になります。
京袋帯
通常の袋帯ならお太鼓が二重になるところ京袋帯の場合は一重となる長さが短い袋帯を指し、別名八寸名古屋帯とも呼ばれています。
こちらも帯の格は名古屋帯と同格になります。
半幅帯
帯幅が通常の半幅の帯で四寸仕立になっていることから四寸帯とも呼ばれています。
浴衣や紬、ウールなどの普段着や女性袴の帯、羽織下などに用いられます。
角帯
男帯の一種で幅が約10センチの帯です。
男性の和装において最も用いられる帯であり、兵児帯よりも格式があります。
男性用浴衣や袴の着用時に使用されます。
兵児帯
角帯と同じく男帯の一種ですが近年では子供の浴衣や女性の浴衣にも使用されることが多くなっています。
大幅(74センチ)もしくは中幅(50センチ)程度で縮緬、羽二重、木綿素材が多いです。
着物に帯を合わせる時の注意点とは
着物と帯を合わせる際のポイントは着物の格と帯の格を合わせることにあると言っても過言ではありません。
格式が高いコーディネートでは着物では格上とされる染めの着物に織りの帯をあわせることが望ましいです。
染めの着物に織りの帯の合わせ方は礼装からおしゃれ着まで幅広く使用できるため、コーディネートに迷いがある場合は基本に戻るようにしましょう。
また必ずしも染の着物に織りの帯を合わせなければいけないわけではなく、格式の高い場でなければ用途に合わせてさまざまな雰囲気を楽しむことができるのも着物のコーディネートの利点です。
おすすめの素材での組み合わせ方
織りの着物+染めの帯 → 昔からの定番で紬の着物に染の帯をあわせることで柔らかい雰囲気を醸し出すことができます。
染めの着物+染めの帯 → 格式の高い着物を着崩す感じでコーディネートできる組み合わせです。用向きにはちょっと力が入りすぎた着物しか持ち合わせていない場合、帯で格を下げることができます。
織りの着物+織りの帯 → 染めの着物と帯の逆バージョンで紬などの普段着を少し格上にすることができます。
着物を来ていく場や着る人の立場によってうまく組み合わせるようにしましょう。
着物と帯の合わせ方はどうしたらいいの?
続いては着物と帯の合わせ方についてです。
振袖の帯
振袖は未婚女性の第一礼装になりますので、染めの着物に織りの袋帯もしくは丸帯をセレクトしましょう。
また、古典柄には古典柄、モダン柄の着物の場合はモダン柄の帯を合わせることで柄の雰囲気を統一させることができます。
色は好みですが、太って見せたくない時は寒色などの収縮色を選ぶと良いでしょう。
振袖の帯は金糸・銀糸をふんだんに使用した華やかな柄が多く使用されています。
黒留袖の帯
黒留袖は既婚女性の第一礼装となりますのでこちらも染の着物に織りの袋帯が基本になります。
黒留袖の帯には金銀糸を使用したものが多く、色目も金銀もしくは白っぽい色が多用されています。
柄は留袖に合わせた吉祥文様や正倉院文様のような古典柄となります。
色留袖の帯
色留袖は帯や小物との合わせ方でいろんな場で着用できる便利な着物です。
紋の数が5つであれば黒留袖と並ぶほどの礼装として礼装用の袋帯を、1つなら略礼装として袋帯もしくは綴れの名古屋帯を合わせることも可能です。
礼装用として色留袖を着る場合は黒留袖の帯と同じような礼装用袋帯がいいでしょう。
喪の帯
告別式等に用いる喪服は黒喪服に黒共帯が正式です。
喪服の帯には袋帯と名古屋帯が使用されていますがお住いの場所によっては「不幸が重ならないように」という意味合いで一重太鼓になる名古屋帯が重宝されています。
喪服では格が高い順に
1:黒喪服・黒帯
2:黒喪服・色帯
3:色喪服・黒帯
4:色喪服・色帯
このような黒の面積が大きければ大きいほど格が高くなる組み合わせになります。
法事などでは色喪服に色帯でも一般的にはOKです。
訪問着の帯
訪問着はさまざまな場へ来ていける便利な着物の一つで、列席する場や立場によって帯も変えることができます。
結婚式などフォーマルな場へ来ていく場合は金銀糸や箔を取り入れた礼装用の袋帯を、パーティーなどには洒落袋帯やカジュアルに名古屋帯を合わせることもできます。
付け下げの帯
付け下げは訪問着に比べ柄が上下ワンポイントと控えめになるため、格を上げて訪問着風に着用したいなら袋帯を、カジュアルに来たいなら洒落袋帯や名古屋帯をチョイスすることができます。
こちらもシーンに合わせて選ぶようにしましょう。
色無地の帯
色無地は準礼装からカジュアルまで幅広く使用できる着物なため、シーンに合わせて帯を選ぶようにしましょう。
一つ紋の色無地なら礼装用袋帯、格調の高い綴れの名古屋帯などでもOKですし、パーティーなどの席であれば洒落袋帯や名古屋帯をあわせることもできます。
江戸小紋の帯
小紋の中では最高格の江戸小紋は紋が入っているか、いないかで着物の格が決まります。
一つ紋が入っていれば準礼装に使用できますので礼装用よりも少々トーンダウンした袋帯や綴れ織りの名古屋帯を、紋が入っていなければ外出着として名古屋帯や染の名古屋帯を組み合わせます。
小紋の帯
小紋を外出着として着るなら洒落袋帯や染めの名古屋帯をセレクトしましょう。
着物自体の格が低いため個性的な柄や色で楽しむのもいいですね。
紬の帯
大島紬や結城紬などの紬の着物は基本的に普段着となりますが、外出着として着用するなら洒落帯や名古屋帯、袋名古屋、京袋帯を合わせます。
紬のような織りの着物に染の帯も柔らかい雰囲気を醸し出すことができるのでおすすめです。
ウールなどの普段着の帯
普段着として着用する着物に合わせる帯は名古屋帯や袋名古屋から半幅帯でもOKです。
何のルールにもとらわれずに帯を選ぶことができるので好みの柄や色で選んでもいいでしょう。
浴衣の帯
浴衣には半幅帯や兵児帯を合わせますが、きっちりと着たいなら名古屋帯を合わせてもOKです。
着物と帯の色や柄を合わせるときのコツ
着物と帯の色や柄を合わせるときのコツをご紹介します。
柄の系統と入り方に注意!
着物や帯の柄には昔からの古典柄とモダン柄に大別されます。
着物は古典柄なのに帯がモダン柄だと違和感を感じる可能性があるため、柄の系統はできるだけ統一させましょう。
また袋帯は全面を見ると華やかに感じるかもしれませんが、実際に着用した時に見えるのはお太鼓になる部分(タレ先)を右に流して上半分です。
この上半分が胴に巻き付く部分になるため、ここにちゃんと柄が出ているかを確認してから着物の柄と合わせてみるようにしましょう。
着物の柄と見比べてもっと華やかさがほしければ柄の多い帯を、控えめに期待なら柄の少ない帯をセレクトしましょう。
着物と帯の色合わせについて
着物と帯の色合わせは基本的には同系色か補色(反対色)がおすすめです。
同系色であれば違和感はないため無難に着こなすことができ、補色であれば個性的な着こなしをすることができます。
帯で補色を使わなくても帯揚げや帯締めで補色を効き色として使用することもできるので帯揚げや帯締めの色との兼ね合いで実際に着物の上に帯を置いて、少し離れたところから見てみると良いでしょう。
さいごに
いかがでしたか?
着物と帯の合わせ方は基本さえ押さえておけば決して難しいことはありません。
着用シーンでの周りとのバランスや着物を着る人の立場によって微妙に変化するのです。
確実に格式が高い結婚式などでの組み合わせは難しくないのですが、パーティーや講演会などに着る場合に悩んでしまうかもしれませんね。
そんな時は着用シーンとあなたの立場をしっかり念頭において着物と帯を選ぶといいでしょう。
主役なのかそうでないのか、もてなす側なのかもてなされる側なのか、それによって自然と組み合わせが決まってくるはずです。
一番ダメなのは「分からなくなったから着物はやめた」となることです。
まずは着実に自分の経験値を上げないといつまでたっても着物と帯の組み合わせに悩むことになってしまいますよね?
簡単な場で構いませんのでできるだけ自分で選んだ組み合わせでいろんな場に行ってみましょう。
組み合わせに迷ったならいつでもこのページに戻ってきてくださいね。